7月26日(火)
雨の中、増水した沢の渡渉にちょっとビビリながらも全員元気よく入寮。高2のS君はみんなのためにでっかいすいかを担ぎ上げてくれた。夜半まで雨は降り続き、明日以降の天候が心配された。
7月27日(水)
早朝4時に起床したときは小雨が降っていたが、回復を期待して5時半に白毛門を目指して寮を出発。東黒沢出合で一休みし、樹林帯の急登を喘ぎながら登った。天候は少しずつ回復の兆しがあり、むしろ太陽の照り付けがない分だけ暑さが凌げて楽だったかもしれない。標高差1000mを3時間半で登り切り、全員元気に白毛門に登頂した。当初は余裕があれば笠ヶ岳を往復する予定だったが、天候が不安定だったので躊躇なく下山することとし、急な岩場をおっかなびっくりしながらも、登りとほぼ同じコースタイムをかけて東黒沢出合に下山した。虹芝寮に戻ってから食べた冷たいスイカが胃袋に染み渡った。
7月28日(木)
登山の翌日はこれもこの合宿の大切な目的の一つだった虹芝寮整備を実施。室内班、外回り班、台所班の3グループに分かれてそれぞれOBと顧問の指導のもと、中村春二先生の建学の精神を地で行く「心の草をとる」小舎掃除に全員で打ち込んだ。生徒たち、家では上げ膳据え膳のお坊ちゃまたちだろうけど、みなすごく真剣に小舎掃除をしてくれたことが印象的だった。将来、社会の中核を担うエリートたちはこうした肉体労働に汗水たらすことを厭ってはいけない。昼食後には水源枡を見学してから成蹊スロープに行き、故人のレリーフをお参り。その後は湯檜曽川で川遊びや釣りに興じた。決して暑いというほどの日差しはなかったが生徒は全員、冷たい水に入って大騒ぎした。夏の虹芝寮を遊びつくすのだ。
7月29日(金)
3泊4日の合宿も早や最終日。朝から小舎掃除を行い、戸締りをしてから、この日「清水越えの歴史」をレクチャーしてくださる地元郷土史家阿部利夫さんをお迎えする。阿部さんは植生にも詳しく、旧道を下山しながら、谷川岳固有の植生や清水越え旧国道の歴史についてお話を聞く。生徒たちは皆、重たい荷物を背負っていることも忘れて熱心に話を聞き入った。谷川岳山岳資料館を見学し、合宿は無事に終了した。
僕が初めて虹芝寮に来たのはもう40年以上前のことになる。でっかいキスリングを背負って駅に向かう僕を見た両親はどれだけハラハラしたことだろうか。来し彼方をふと振り返ったとき、刹那の想いが三千世界を駆け巡った。
今回の合宿に際して、指導者としての勝手な目的は次の4つがあったのだが、どれも一応何とか達成出来たかと思う。
- 怪我なく無事に全員で白毛門に登頂することで、心身を練磨する。
- 虹芝寮整備を徹底して行なうことで、虹芝寮への理解と愛着を深める。
- 地元郷土史家阿部利夫さんに「清水越えの歴史」をレクチャーしていただき、教養を深める。
- 衣食住を共にする合宿で、部員間の、またOBとの親睦を深める。
これらの成果を部員たちは来る10月1日(土)・2日(日)の蹊祭で発表する予定ですので、是非皆さんには足をお運びいただき、部員たちに接する機会を持っていただきたく存じます。
(文責:熊崎和宏)